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2006/01/14

現代邦楽の幻

かつて大正の後半から昭和の初期、邦楽界は迫りくる洋楽に対して、どのようにしてそれを自国の音楽として取り込むか、ということで試行錯誤した。
正直、西洋音楽の根本的理解が充分ではなかったと思われるが、それでも邦楽人は少ない知識の中ででも自分なりに租借して取り込もうと試みた。
彼らは西洋音楽に反目するのではなく、積極的に取り込み邦楽の糧にしようとした。
宮城道雄を筆頭に邦楽人、田辺尚雄、町田嘉章などの学者などによりいろいろな試みがなされた。

そして大阪万博の頃からだろうか、現代邦楽という名のもとに新しい邦楽を試行した。
洋楽系の作曲家もその世界観の行き詰まりから、自国の民族音楽の音素材に目をむけた。
邦楽人と作曲家のWinWinの関係からいろいろな作品がうまれた。
規範を崩さなければいけないという当時の学生の風潮ともあいまって、学生も盛んに取り組むようになった。

先日、NHKの育成会の編集している「杵屋正邦と藤井凡大の作品集」を購入した。
彼らはいわゆるNHK育成会おつきの現代邦楽指導者であり作曲家であった。
育成会のメンバーに向けての合奏曲ばかりであった。
全部読んだわけではないがそのスコアを見て愕然とした。音楽の中身がスカスカである。
どこも新しくないし、作曲者の思想が伝わってこない。
私の読譜力もあやしいものだが、それにしても何を意図するのか、さっぱりわからない。
この二人の仕切っていた育成会からは決して新しいものは育たないように思える。
優秀な若手邦楽人がこういう音楽をやってうるものはあるのだろうか。
現代邦楽は一体何をめざしていたのだろうか。
昭和初期の熱情もなく、どうしたかったのだろうか。
私にはどうしてもわからない。


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