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2006/07/28

尺八の面白さは乙音にある

乙(呂)音と甲音とあわせて尺八の音なのだが、尺八の音色の面白さは主に乙音にあるように思う。
乙ロ(筒音)だけでも尺八は楽しめる。
確かに乙ロをめったやたらと吹くいわゆる「ロ馬鹿」というのはあまりほめられたものではないが、少しだけ気持はわかる。乙ロを吹く楽しみというのは本当に尺八ならではだと思う。
音量、音色の変化も乙の方が幅があるように思える。

しかし、新曲、現代曲では甲音を中心に作られているように思う。
理由は何だろう。甲音の方が音が安定する(?)音が前に出やすい・・・
フルートでも確かに下の音域は、あまり使われないようだ。音量の問題もあるのかもしれない。
尺八に限って言えば、乙音を充分に生かした曲こそが「尺八が生きる」ように思える。

本曲では乙音中心で静かにはじまり、途中気分が高揚し「高音」で甲音が中心となり
鉢返しでも甲音がつづき、最後は乙音に還り終わるというパターンが多いように思う。
確かに舞台映えするのは感情を吐露するような高音かもしれないが、それはそれまでの耐え忍ぶ乙音の長い独白があるから生きるのだ。
本曲吹きとしてはやはり、前半の鬱屈した語りにこそ男のロマンを感じるのだ。
乙音だけの曲としては「一二三調」があり、地味ながら良い曲だと思う。
余談であるが、甲音中心の「鉢返し」とくっつけて琴古流では「一二三鉢返しの曲」として演奏されるが、個人的には別々として楽しんだほうがよいように思える。(さらに「寿調べ」をくっつけるのはやりすぎではないか)


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コメント

確かに乙音の方が演奏者の違い、音の趣味が表れやすいような気がします。
いろいろな音色を使い分けられる人が豊かな表現をできる技術をみにつけているということかもしれません。

投稿: ろめい | 2006/08/01 00:33

こんにちは,ご無沙汰しています.

尺八では乙音と甲音の音色がかなり違っているように感じていました.甲音,それも大甲など高音になるほど澄んだ音になるのですが,乙音は倍音成分の響きが多く含まれていると感じていました.この点について,山口正義氏が「尺八史概説」(出版芸術社,2005年)p265-270で振動波形スペクトルを測定して明確に示してくれています.ですから,尺八の違いによる音色の違い,また演奏者による音色の違いは,乙音で顕著になるのではないでしょうか.

投稿: 松見 | 2006/07/30 15:00

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