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2006/10/23

「一二三調べ」の構成

對山派の「一二三調べ」ですが、いわゆる琴古流の「一二三鉢返し」は「一二三調べ」と「鉢返し」の合体曲であり原曲は同じである。
一二三調べには甲音がひとつもない(多分)唯一の曲である。
高音のフレーズがないため特に盛り上がりもなく、淡々としており、非常に短い。
しかし、他の曲にはない、独特の間があり、余白の多い墨絵を見るようである。
前半は乙ロを中心に構成される。「ハウ(メ)」というめり込む変化を繰り返しながらもすべてロに落ち着く。
後半は乙レを中心に組み立てられる。
変化が下降型の「ハウ(メ)」から上向型のすりあげる「ハイ」に変化し、レに落とす。
8寸で表すと音の骨格で言えば、前半はG-D(Gはレまたはウのめり込んだ音)の4度の下降形。
後半はD-G(Dはイの音)の4度の下降形、ととても均整のとれた構造になっている。
シンプルだが飽きの来ない曲である。

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コメント

前半と後半をどこで区切るかによって、随分と景色が変わってくるように思います。
池田壽山の「對山譜拾遺」にある對山自筆譜から、音高に従った表記に単純化して改行を変えると下のようになります。「、。」はママ

1 ツロー。ウレレロー。
2 ハウレツロー。
3 ハウレ、レレロー
4 ツロロツレー。

5 ハウレレー。
6 ハイ、レー。
7 ハイレー、
8 イレ、
9 ツレー。

2行目と3行目は冒頭ツローとウレレローの拡張反復。
4行目は冒頭ツローを回想してからツレーで前半を終わる。
後半は2行目と3行目のハウレをか回想してから、ハイレーハイレーイレーと新しい景色を見て、前半同様ツレーで終わる。

1行目と4行目のツロとツロロ、1行目と3行目のウレレローとウレ、レレローを同一視して良いのかという問題は残りますが、逆にこのような操作によって整然とした構成をぼかすことで新味を出そう、あるいは神秘的な味わいをだそうとした對山の意図を私は感じます。

また別の見方をすると、對山は単純な反復を避けようとしたとも考えられます。すると論理的に言って(現実の時間的な前後とは別に)、単純な反復ないし甲乙を違えた反復が本曲の様式として先にあった、本来の形として對山以前に存在したということにもなるでしょうか。
私の好みに偏った推論かも知れませんが…。

投稿: ペリー | 2006/11/26 06:44

確かに鉢返しは奥州系の曲でも高音の後に鉢返しの手があり最後まとめるというものが多いですね。
對山派の鉢返しは琴古流からもってきたものでしょうが、独立した曲と考えるべきか部分と考えるべきかということはあるかもしれませんね。

投稿: ろめい | 2006/10/26 17:52

音取りで思うところは、ろめいさんの
指摘するように、一二三調べは
主曲を吹く前に、
その時の笛の状態の、乙ロ音を基準にして、
前半はGーD、後半はGーDの4度の上下音の
バランス確認と調整のための曲としたので、
均整がとれているのではないでしょうか。
という事は、主曲が終わったら鉢返しを
吹くということかな。

投稿: さすらいの尺八マン | 2006/10/26 16:30

最近雅楽と接することが多いのですが、
雅楽には「音取り」という前奏部分がありますね。
音楽としての「調子」のコンセプトはこれに近いのかな、
と見ています。

投稿: Toorak | 2006/10/26 11:56

上記訂正
誤 一二三鉢返
正 一二三調
でした。m(__)m

投稿: さすらいの尺八マン | 2006/10/26 07:53

對山派でも、「虚鈴」の前吹きは「調子」。
「志図曲」は「一二三鉢返」が前吹きだそうですね。
前吹きや後吹きの曲を、探すのも良いですね。

投稿: さすらいの尺八マン | 2006/10/26 07:43

琴古流の「一二三鉢返寿調」は
もともと、「一二三調」と「鉢返し」と「寿調べ」という三曲別曲を編曲する際に組み合わせたものです。
「一二三調」が乙音中心で「鉢返し」が甲音中心の高音、という位置づけです。
うまいこと当てはまっていると思います。
さらに竹翁入れ子の手なんていう荒木竹翁の手が加わったりしますね。

そもそも「調べ」「調子」といった類は、独立した曲ではなく、他の曲の枕に付けられていたものです。
西園流の少し古い楽譜には、虚空でも秋田でも曲の前に小さい字で全て「本調べ」が書いてあります。つまり続けて吹くことを前提としていたように思います。

投稿: ろめい | 2006/10/25 22:22

琴古流本曲楽譜のスタンダードと言える
三浦琴童譜では、「一二三鉢返寿調」となって
いるのですが、通常「寿調べ」の部分は演奏
されません。
五郎先生の琴古流本曲CD集は、一曲を一枚の
CDに入れてありますが、これらの曲は分けて
あります。つまり「寿調べ」だけで一つのCD
になっています。また、付属の楽譜も、
基本的には三浦琴童譜なのですが、これらの
曲は分けて書かれています。

「寿調べ」はそのCD集に入っているのと、
福田輝久さんの「尺八の芸術」というCDに
音源がありますが、滅多に演奏しない曲
ですよね。

投稿: Toorak | 2006/10/25 22:07

横山先生の執筆した「尺八樂の魅力」を読み返したら
一二三鉢返しは琴古流本曲の根本とも言うべき名曲である
と書いてありました<
したがって、国際尺八は琴古流・本曲ですね。
一二三は物事の基本で、
「一二三鉢返し」は
基本的な返礼曲とも、
しかしこれではまだ略式で
正式には「一二三鉢返し寿調」で全曲を吹くと
30分以上かかるので省略とか。
「寿調」は未だ聴いたことがありません。

投稿: さすらいの尺八マン | 2006/10/25 20:45

「国際尺八研修館」の譜は、2、3の曲しか持っていなくて、「一二三鉢返し」は手元にありません。しかし、この曲や「鹿の遠音」などは琴古流本曲ですよね。もし「三谷菅垣」なんかがあれば、きっとそれもそうだと思います。

「一二三鉢返し」の録音は、横山先生の一番最初の本曲レコード集に入っているのと、「竹一本I」(CD)にありますね。ライブでは聴いたことがなかったと思いますので、あまりコンサートなどでは吹かないというイメージがあります。

この機会にCDを聴いてみました。細かいところで違いがありますが、やはり琴古流本曲です。

投稿: Toorak | 2006/10/25 11:16

私は「国際尺八研修館」の譜で、琴古とはまた
チョツト違ってますね。

投稿: さすらいの尺八マン | 2006/10/25 07:53

琴古流の一二三鉢返しは本当に合体曲ではありますが、うまいこと構成されているなあといつも思います。

投稿: ろめい | 2006/10/24 23:23

来月、鎌倉に虚無僧修行に行くので
一二三鉢返しを暗譜中です。

投稿: さすらいの尺八マン | 2006/10/24 15:49

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