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2007/02/12

竹が温まらないと鳴ってこないというのは本当か?

竹の先輩 百輔さんのブログのテーマからですが興味深いところです。

尺八が温まらないと鳴らない、というのは確かによく言われることです。
これは吹いていると竹が温まってきて、鳴るようになるということのような気がします。
つまり「吹いていると」というところがポイントで「温まる」は二義的なことではないかと。
これは単なる練習不足の証明、準備不足だけのような気がします。
楽器を暖めるのは単に、ピッチを所定のところに安定させる(演奏しながらあがっていってしまうのを防ぐ)ということだけでしょう。
つまり温まらないと鳴らないと思っているのは迷信で、自分の鳴らすポイントが決まっていない、口の周りを中心に発音に違和感があるのを吹き込むことによってその竹に慣らしているということではないでしょうか。
すぐに鳴らない理由は経験上以下の4点が考えられます。(そして私自身もその通りなのですが)

1.唇、その周りの筋肉の適度な弛緩
私はどうしても唇の周りの力が抜けず、きちんと竹を一杯に鳴らすことができません。
風呂上りなど唇の湿り気もあるかもしれませんが、適度に弛緩して良く鳴るような体験はよくあります。
2.ひげなどあご周りの感覚
無精ひげなど生やしていると、あごあたりの感覚が変わります。
ひげをそったすぐもちょっと違和感があります。
これはあまり決定的な問題ではないような気がしますが。
3.充分なゆったりとした呼吸
吹き始めのときちゃんと尺八を演奏するモードの呼吸になっている必要があります。
息が浅いとやはり鳴らしにくい気がしますし、第一曲が吹きにくいです。
朝起きて時間のたっていない午前に尺八を吹くと吹きにくいのはこのためではと思っています。
反対の例もあります。
息を充分に入れられない尺八の場合、最初のうちは良く鳴ると思っていたのですが
吹き始めて慣れてきて息が充分に使えるようになると、息がだんだん苦しくなってしまうということがあります。
これは楽器が合っていないということかもしれません。
4.気持の切り替え
演奏しはじめるときに尺八を吹く気持に完全に切り替わっている必要があります。
鳴る、鳴らないは確かに体の構造など物理的な要因で決まるのかもしれませんがそれを支える気持ちの問題は非常に大きいと思われます。
吹きながら、演奏するモードに切り替えていることはよくあります。

もちろんこれはウォーミングアップがいらないといっているわけではありません。
どんな人でも演奏に向かうまでのウォーミングアップはやはり必要です。
しかしそれも楽屋でブーブー吹くのだけが準備ではないと思われます。

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コメント

「温度と音程の関係は」の記事には
絃方とのピッチについての、関係も載っています。
演奏会場の室温はどうでしたか、
掛合い待っていても下がってしまうとか、
絃方のピッチが狂ってきたとか、
ある温度以下では尺八のピッチは
安定しないみたいです。

投稿: さすらいの尺八マン | 2007/02/14 10:58

手貝町会所、というのを目にしたことがあるでしょうか。私の所属する社中の勉強会のホームグラウンドなのですが、初吹きとか納会ということになると当然冬なわけで、時にはチョー寒い日に当たることも。しかもここは基本的に暖房が無くて、小さなストーブを2、3台、それも一部は電気ヒーターだったかな。

かってある勉強会ですごく寒い日があったのですが、出番待ちの間も十分に竹を暖めることができないぐらい。しょうがないので、演奏直前にストーブの前に行って竹をあぶって暖めました。そうしたら、案の定よく鳴るので、出だしはOK。ところが、どうも少し暖めすぎたのか、吹いている内に竹の温度が下がって来たんですね。もちろん、ずっと吹いている状態なのですから、気柱内の温度はそれほど下がっていないと思います。しかし、鳴らなくなってしまって、曲の途中から大苦戦。

まあ、もしかしたら気の問題ということもあるのかもしれませんが、経験的に竹の温度が高いと鳴りやすいというのは感じますけどね。確かに、理由はよくわかりません。その時の竹の温度は、顎で竹の暖かさを感じるぐらいでしたし、それが唇の周囲の温度を上げて吹きやすくしていたのかもしれないし。ただ、言えることは、気柱内の温度の上がり下がりというよりも、竹自体の温度が結構関係しているんじゃないかということです。

もし機会がありましたら、実験してみてください。いつも吹いているような曲で、古曲のようなあまり抑揚の大きくない曲の方がわかりやすいかという気がします。掛け合い以外はずっと吹いてますので、竹を休める時がありませんしね。

投稿: Toorak | 2007/02/14 08:55

邦樂Jによると人の息の温度は
28℃ぐらいだそうです。
ある一定条件になるとピッチは
安定するとのこと。
他にも色々と書いてありますが、
著作権の問題もあり、買って読んでね。
しかし、これはピッチの問題で
「鳴りの悪さ」にはまだ説明不足ですね。
練習不足もあるし、吹き方の違いもある、
暖かいと体もほぐれて、りきみが無くなる。
湿度も影響しているのかも。
私の場合は、鳴らないナーと思ったら、
風呂場で吹いて、吹いてみると・・
これが以外と鳴っていて、
音も大きいなと納得させてます。
残響も影響している。
またこれからの時期は、
急激な温度や湿度の変化は、
竹の割れにつながるのて゛暖め方にも
注意したほうが良いと思います。

投稿: さすらいの尺八マン | 2007/02/14 08:08

> 尺八を暖めるというよりは、尺八の管内の
> 温度を息をいれて中の空気を
> 暖めることて゛は。


確かに尺八の管内の空気が冷えなければ良いわけです。
しかし現実問題として、尺八が冷えていたら吹き込まれた息が冷えて、ピッチも下がります。だから普通は尺八を暖めておく必要があるのではないでしょうか。
もっとも、最初はカリ吹きにするから大丈夫、なんて人がいるかもしれませんが…。

邦楽ジャーナルは読んでいません。

投稿: ペリー | 2007/02/14 00:22

ろめいさん、トラックバックありがとうございます。

4点のうち、私は主に1の要因が大きいと思っていました。と言うか、それしか考えていなかったのですが、2はともかく、3、4も確かに考えられると思います。

さすらいの尺八マンさんのおっしゃる、室温との関係と言うのは、私にとっては盲点でしたが、もしかしたらその可能性もあるかも知れません。一度試してみたいと思います。

投稿: ムーミンパパ | 2007/02/13 22:09

丁度邦楽Jの2月号に「温度と音程の関係は」
という記事がある。来月号では
「尺八の長さと温度と音程」
についての記事だそうです。
尺八を暖めるというよりは、尺八の管内の
温度を息をいれて中の空気を
暖めることて゛は。
私の冬場の準備としては、
吹く前に歌口を片手で包み込み、
音を出さずに竹に息を吹き込み、
管内の空気を暖めるようにしています。
演奏会などでは、控え室と舞台の温度差や
舞台照明による温度差・湿度などにも気を配れば
良い演奏につながるのではないでしょうか。

投稿: さすらいの尺八マン | 2007/02/13 17:19

音速を考えるなら、広い部屋で吹いたときに、反響して返ってくる響きが遅れるので吹きにくいということはあるかも知れませんね。
上野の「旧奏楽堂」は残響が柔らかくて良く響くホールなんですが、冬場にステージの上で音を出すと、残響が聞こえにくくて不安になるのですが、ホールの中が随分寒かったような記憶があるんです。
良く響くのに残響が聞こえにくいのは不思議だと思っていたのですが、もしかすると音速が関係しているのかも知れないと思いました。
ただ、そうであったとしても、鳴りとか音の大きさと音速は、特に狭い部屋で吹いている限りはほとんど関係がないようにも思います。

体が温まると良いというのは、尺八も体を使うという点ではスポーツと一緒ですから、ウォーミングアップという意味に過ぎません。中にはウォーミングアップの必要が無いような人もいれば、丹念にしなければ使い物にならない人もいるかと思います。私は後者で、ウォーミングアップが済んだら、もう曲の練習をする時間がありません。

投稿: ペリー | 2007/02/13 15:31

竹が暖まらないと良く鳴らないのは、
竹と体の温度よりも
吹いている場所の室温が
影響しているのではないでしょうか。
良く尺八は、冬場に鳴りが悪くなると云われます。
これは音の速さは一秒間に約340mですが、
温度により、0度で331m、1℃上昇すると0.6m
早くなる。15度で340mになるとのこと。
試しに鳴りの良い室温の記録を付けてみたが、
鳴りが良いのは室温18℃から24℃位かな。
室音10℃では鳴りが良くない。
ある邦楽器店で聞いた話は、
尺八の袋で振り分け
(中継ぎを外して二本にし別々に入れる袋)
にしているものは、冬場紐を首に掛けて左右に振り分け
竹を着物の懐にいれて体温で暖めていたとの話しも聞いた。
鳴りをよくするには、体をあたためて、コンディションを
良くするより、吹く場所と室温を考えたほうがよいのでは
ないでしょうか。

投稿: さすらいの尺八マン | 2007/02/13 09:29

私も、竹の温度と鳴りはまったく関係ないと思っています。体が温まって、呼吸のフォームができているかどうかだけのことだろうと感じています。

ところで、日曜に粋鏡さん、見せてもらって来ました。
暖かい音色、鳴りのバランスの良さ。癖が無く、なおかつ、いくら吹いても飽きない味わいと、本当にすごく良い尺八でした。竹材の良さ、細工の美しさと、言うことなしですね。
こういう楽器は、吹き込んでいくと好みにあった鳴り方に成長してくれるに違いないと思わずにいられません。

投稿: ペリー | 2007/02/13 02:49

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