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2009/01/13

楔吹きについて

楔吹きについて少し自分の考えを整理する。
楔(クサビ)吹きについて 対山派は楔吹きということですが、これは対山の出身の西園流の普大寺系が楔吹きを言っているからである。
楔吹きは一番シンプルなのですが一番難しい技術だと思う。
綺麗にビブラートをかけず音を消していくためには、息の流れが安定していて最後まで息を横隔膜で支える必要がある。
これをていねいにやろうとするとどうしても音が長く伸びすぎてしまう。これをコンパクトにまとめるのが大切である。(ずるずる長く伸ばすのを「牛のよだれ」とよく父が言っていた。)
対山派というとやたらテンポが遅く、ひたすらゆっくりやるのが「禅的だ」なんて考える人もいるようですがこれは間違い。コンパクトにまとめるほうがはるかに技術的にも難しいし、禅は第一そんなダラダラしたものではない。
楔吹きといったときに、吹き始めからいきなり、楔の▽に収めようとする感じがあるが、実際はフレーズの前半ではまっすぐ吹くところがあり、あるところから楔形になる。最初から▽にしてしまうと緊張感のあるディミヌエンドという感じにならい。もちろんフレーズの中にはまっすぐに近い状態で進むところも多くあります。最後の収め方が楔だと習っている。普大寺系の曲では琴古流のように意図的に膨らんでいく旋律というのは確かにあまりないように思う。(高音の盛り上がりは多少、その傾向はあるかもしれないが)
いずれにしてもあまり「静的」なものをイメージすると曲が流れないように思う。楽譜を見ながら、静的なイメージで吹くともう曲が動かず生命感のない演奏になってしまう。実際そういう演奏が非常に多いように思う。
楔吹きというのは曲を「清潔」にするための究極の技法だと思う。 あくまでも気分は動的な曲でその曲の重心を下げる為に「楔吹き」があるというくらいに考えている。

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コメント

ピアノも梵鐘も打楽器ですネ。ピアノも発音の立ち上がりの衝撃音から推移して消えてゆくまでの間に、倍音の出方による音色の変化、また微妙なピッチの上下の揺れがあります。梵鐘は非整数次倍音が多くて(尺八も)、複雑な濁った音ですが、唸りと共に余韻の響きに成るのでしょう。澄んだ教会の鐘とは違う、日本人のDNAに刻まれた音ですネ。但し、フルート的尺八も有りますから、どちらが好きかは好みでしょうか。楔吹きが少し飛躍してしまいました。

投稿: 虚韻 | 2009/01/15 21:59

波平さんの「楔形にする」、というのと虚韻さんの減衰して「楔形になる」の違いですね。
楔吹きというのはある意味、お寺の鐘のように余韻を持って小さくなっていくというものを表しています。
琴古のビブラートはお寺の鐘のうなりのようなものとも聞いたことがありますがそれは置いておくとして。
尺八でそれをしようとすると単に吹いてそのままではそういう余韻にはなりません。
かなり技術としてしっかり支える必要があります。
減衰という言い方が誤解されたのかもしれませんが、同じことをいっているような気がします。

投稿: ろめい | 2009/01/15 18:43

ウ~ン、
虚韻さんはピアノの専門家でいらっしゃるのですよね、耳の、音の専門家、

ろめいさんの考えとは少し捉え方が違うようですね、

わたし、生意気言って申し訳ないが、
「…減衰して…」とは、思えなくて、減衰じゃなく、キューと絞り込むような強さに魅力を感じるのですがねぇ~、どうなのでしょう???

投稿: 波平 | 2009/01/15 08:09

楔吹きは、ピアノの様に発音と同時に減衰してゆく音、その美しさ儚さを追求した吹き方とも云えるかも知れません。

投稿: 虚韻 | 2009/01/14 23:21

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